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7月24日 黒潮に舞う。

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7月24日

1本目 神津島沖 西北西 30マイル 海面温度 27.7℃

2本目 神津島沖 西北西 28マイル 海面温度 28.3℃


早朝。
初老けんろー。
至極当然のようにスマホのアラーム時間よりも早く起きてしまう。

今日は今季1発目!
シーランドの個人ゲストさまのブルーウォーターダイビングツアー開催日!
否が応でも早く目が覚める。
もちろん準備もあるのだが、それ以上に今朝の海の状況が気になるからだ。

昨日の予報では夜中に南西が5m吹くと。
田子で5mなら沖はもっと吹いているというのは容易に想像できますよね。
その後、朝にかけて2m~3mの予報。
少しでも強く吹けば、弱まったとしても波が残る。
出港予定ではあったが、状況次第では中止もありえる状況。

そんな不安を感じながらお店に出てみると
思わず声が出る程にペタンコな海!
予報と経過を確認すると南西風予報は変わらずだが若干南東風が吹いたようだ。

良かった!
とにかく出港できる!!
続々と到着するゲストの皆さんを案内し、出港準備。

しかし、まだまだ不安は残る。
案の定、港を出ると波が残っている。
水面を見る限りずっと続いている暗っぽい潮色。

波が高くなったり、風が強くなれば駿河湾から出ることは難しく、
その場合はこの透明度ではブルーウォーターにはならないため、
海面生物や流れ藻を探す方向に切り替えることになる。
運よく出会えたり、見つけたりしても見えないのでは意味もない。
今回は本当に悩ましい状況であった。

とにかく南へ針路をとっていく。
朝日がとても美しく海岸線を染める。
雲見付近に近づくと少し波は収まっていくのだが、一向に不安は
消えない。
波勝崎をかわしても全く潮色は変わらない。
また途中波も風も大きくなる。
ずっとハラハラしている。
駿河湾で何かを探すコースになるのか、田子に戻ってファンダイビングになるのか、それとも行けるところまで行くのか等と
悪い方の選択肢も時間や距離で考えなくてはいけないのだ。

すると、駿河湾の淵まで来た所で風は穏やかになり
波もかなり落ち着いてきた。
こうなると行けるところまでは行くコースに決定だ。

そんなころ、大きなの潮目の中でオキゴンドウの群れに遭遇!
10~15頭いやもっといたのかもしれないが、かなり広範囲に散らばっておりあっちこっちで背中を見せてくれた!
少し良い兆しを感じる。
だが、まだ安心できない。
予報ではこれから3mの南西。
遮蔽物のない沖ではそれより少し強いだけでも大変になることもあるからだ。
しかし予報に反し、沖に行けば行くほど穏やかになる海。
風もそよそよと逆に涼しく心地よい。

湾から出れないのじゃないかと心配していたが、スタッフ一同胸をなでおろす。
しかし問題は潮色だ。
進めども一向に良くならず。
むしろ西伊豆近海のほうが明らかにキレイに感じるような潮もあった。
黒潮情報では本船航路までいけば良さげな感じであったが、行き交う外国の大型船を眺めながら進む我が航路には黒潮の気配が全く感じられず、逆の意味で『キレイな海』
それは流れ藻や流木などが一切ない。
ブルーウォーターがダメなら生物。
せっかくのプレミアムなツアーなのでどちらかだけでも見せたいと思うのは当たり前。
ネズミ色にも見える延々と続く海にやはり不安を覚えつつ、潮目を越えていく。

すると!!!
少し潮色が変わったところで船上の手伝いで来てくれた、いつもボートを手伝ってくれている正人さんが
『お!なんか跳ねたな!』と。
間違いなく跳ねているのが見える!
イルカ?にしては形が変だな?
そうそれは結果的にはおそらくモブラ!
ヒメイトマキエイかと思われる。
何故思われる。なのかと言うとそこへ向かう途中で
10枚ほどのモブラの群れを発見したからだ!!!

一気に船上のテンションがあがり、歓声もあがる!
船のすぐ側でクルクルと舞うモブラたち。
スノーケルの準備をし、順に海にエントリーするゲストさんたち。
しかし、潮の流れが速くモブラたちは余裕で泳いでいくも
人間にはそんなスピードは出ない。
一度船に上がり、仕切り直すことになったがその頃には船から離れてしまった。
非常に残念ではあったが、素晴らしい出会いに皆笑顔がこぼれる。

少し潮色が変わったので期待しつつ更に南下。
気づけば式根島を超え神津島に近いラインぐらいまで来ている。
これはかなり長い航海。
もしかしたら神津島を超えないと潮が無いのかと思われた。

しかし、データではもう本流付近まで来ているのだ。
流石におかしくないか?と思っていたのだが、一つの潮目を超えて
一変!
一気に水温が27℃台に。
潮も青くなり、ブルーウォーターに!!
ここで1本。
2本目は少し移動してさらに水温が上がった28℃台のポイントで。
本流が28℃なので限りなく近いところに来ていたと思います。


出港すら危ぶまれた今回のツアーですが
フタを開けてみればしっかりと黒潮海域でのダイビング。
モブラ、オキゴンドウ、カマイルカ、ハンマー、なんかわからないサメと海面生物の観察と極上のツアーになったと思います。

これもひとえに皆様の日頃の行いのおかげだと思います。
ご参加の皆様、長距離、長時間のお付き合いありがとうございました。